なあ、悠詩
今、トウサンの田舎にいるね。
二日前、連絡なしでいきなり訪ねてみた。
飛行機に乗って。
だが、ドッキリというノリではない。
ずっと好き勝手やっているのでむしろ怒られても仕方がない。
カアサンに少し自由な時間をあげる約束があった。
昨年、私が一ヶ月間も好き勝手に旅行した分のお返しである。
私と同じ長さというわけにはいかないけど、ゆっくりさせてあげたかった。
それに、オマエサンをじいじとばあばに会わせてあげたいとも思っていた。
さらに、私自身についても良いことがあり、それを報告したかった。
そこで私は考えた。この三つを同時に果たそうと。
なので、私とオマエサンのふたりで帰ったのだよ。
それも直前に決めたことだったので、思い切ってアポなしで。
オマエサンの世話は私がしっかりするから安心しなさい。
私は療養で家にずっといるおかげで調理以外は大丈夫。
もちろん、すべてカアサンが中心に頑張っていることだが。
なので、普段から慣れているので特に大変なことではない。
むしろ幸せなことである。
普通に働いていたらまず、こんな貴重な育児体験はできない。
それにきっとひとりで面倒も見切れないだろう。
まさしく今の私だからこそ可能なことであるといえる。
それはまさしく病気や療養を前向きに考えられる所以である。
オマエサンが田舎に来て三日目。
最初は少し緊張していたかな。
だけどもうすっかり馴染んだようだね。
少し寒いけど元気いっぱいだね。
温度も心もあったかくしてくれるじいじとばあばに感謝だね。
カアサンにも日ごろの感謝を込めて、良い子に過ごそうね。
ん? もうカアサンに会いたくなったって? 甘えん坊だね。
田舎の海をバックに決め込むオマエサン。
左の岩にじいじが取ってくれたヒトデとウニが乗っかっているね。
転んで泣いた後だから左の頬に涙がついてるよ。
ヒトデとウニのアップ。
じーっと眺めていたけど触ろうとはしなかったね。
怖いのかな?
【小説「源平咲き」135,626文字(原稿用紙340枚目)推敲中】
from オトウサン
—悠詩(1歳5ヶ月) with 父(33歳) and 母—